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出来高報告書の書き方|出来高率の計算と部分払・様式の実例

公開日:  最終更新日:  直感日報 編集部

出来高報告書の書き方|出来高率の計算と部分払・様式の実例

出来高報告書に書く数量は、日々の施工記録の累計でしか作れません。月末の思い出しで整えた数量は、約款第 38 条の確認検査で出来形と突き合わされます。

この記事でわかること
- 出来高率は「累計出来高数量 ÷ 設計数量」。金額ベースは契約単価を掛けて積む
- 部分払金の上限は「請負代金相当額 ×(○/10 − 前払金額 ÷ 請負代金額)」(38 条 6 項)
- 下請代金は元請が支払いを受けた日から 1 か月以内(建設業法 24 条の 3 第 1 項)
- 福島県の工事出来高報告書は第 27-2 号様式、提出時期は既済部分検査前
- 確認検査では出来形部分を最小限度破壊して検査できる(17 条 2 項準用)

出来高報告書とは — 施工が完了した部分を数量・金額で報告する書類【記入例】

出来高報告書とは、その時点までに施工が完了した部分(出来形)を工種ごとの数量や金額に換算し、発注者・元請へ報告する書類です。公共工事では部分払や既済部分検査の根拠資料として、民間工事では下請が毎月の出来高請求に添付する資料として使われます。

数量ベースの様式(後述の宇都宮市型)の記入例です(数値は例示値)。

工種種別単位設計数量出来高数量出来高数量比率
管布設工φ200m40028070.0%
舗装復旧工仮復旧1,20060050.0%
残土処理工80056070.0%

「工事がどこまで進んだか」を示す点は工事履行報告書と似ていますが、出来高報告書は支払いに直結する書類です。そのぶん数量の根拠がより厳密に問われます。

公共工事の根拠は約款第 38 条(部分払)— 確認請求 → 14 日以内の検査 → 支払い

公共工事で出来高報告が支払いにつながる根拠は、公共工事標準請負契約約款の第 38 条(部分払)です。受注者は、出来形部分と検査済みの搬入済み工事材料に相応する請負代金相当額について、部分払を請求できます。

上限は 10 分の○以内の額、回数は工期中に○回以内です(公共工事標準請負契約約款 第 38 条・国土交通省・2026-08-15 確認。割合・回数の○は契約ごとに定める欄です)

手続きの流れも条文に書かれています。

  • 部分払を請求する前に、あらかじめ出来形部分などの「確認」を発注者に請求する(第 38 条第 2 項)
  • 発注者は確認の請求から 14 日以内に、受注者の立会いのうえ検査を行い、結果を通知する(第 3 項)
  • 確認後、受注者が部分払を請求すると、発注者は請求から 14 日以内に支払う(第 5 項)

部分払金の上限も「請負代金相当額 ×(○/10 − 前払金額 ÷ 請負代金額)」という算定式で定められています(第 6 項)。つまり出来高報告書に書く数量・金額は、そのまま検査と支払額の根拠になる数字です。

民間工事・下請の出来高請求 — 出来形部分への支払いは受領から 1 か月以内

下請の立場では、出来高報告書は毎月の出来高請求に添付する「今月ここまで施工した」の証明資料になります。建設業法は、元請負人が請負代金の出来形部分に対する支払いを受けたときの、下請代金の支払期限を定めています。

施工した部分に相応する下請代金を、支払いを受けた日から 1 か月以内で、できる限り短い期間内に支払わなければなりません(建設業法 第 24 条の 3 第 1 項・2026-08-15 確認)

様式・締め日・提出方法は元請ごとに異なり、自社様式の出来高報告書や出来高内訳書のダウンロードページを設けているゼネコンもあります。協力会社として入る現場では、契約時に元請の様式と締めのルールを確認しておくのが出発点です。

元請と協力会社のあいだで報告の様式・提出タイミングをそろえる進め方は職人・協力会社の報告共有の記事にあります。

記載項目と様式の実例【発注者別】

記載項目の骨格は「工事名・報告時点の年月日・工種別の設計数量と出来高数量(または金額)・出来高率」です。様式は発注者ごとに違うため、実例を並べると幅がわかります。

発注者様式・運用の例
宇都宮市様式第 36 号(契約書第 39 条関係)。監督員宛て・現場代理人名で提出し、記載欄は工種・種別・単位・設計数量・出来高数量・出来高数量比率・摘要の数量ベース(宇都宮市 工事出来高報告書 様式・2026-08-15 確認)
神戸市内払に際する建築工事の出来高算定基準を規定。出来高検査は 2 か月に 1 回の割合で行うことができ、明確に区分できる工程段階を完了したものを単位に、工種別に計上できる完了割合の上限を定める(神戸市 建築工事出来高算定基準・2026-08-15 確認)
福島県工事出来高報告書は第 27-2 号様式で、提出時期は「既済部分検査前」、根拠は共通仕様書 1-1-26 第 2 項と整理(福島県 県発注工事における提出書類・2026-08-15 確認)

数量ベースか金額ベースか、端数処理をどうするかも様式ごとに指定が異なります。受注した工事の設計図書・提出書類要領と様式の記載例を必ず確認してください。

出来高はどう計算する?累計施工数量と出来高率の算出

工種ごとの出来高率は「累計出来高数量 ÷ 設計数量」で算出します。冒頭の記入例なら、管布設工は設計数量 400 m に対して累計 280 m 施工済みなので、280 ÷ 400 = 70.0% です。

金額ベースの様式では、出来高数量に契約単価を掛けた「出来高金額」を工種ごとに積み上げ、請負代金額に対する割合として出来高率を出します。

計算そのものは割り算ですが、実務で問われるのは分子の「出来高数量」の確からしさです。

当月の施工数量(今月何 m 布設したか、何 m³ 打設したか)を押さえ、前月までの累計に足し込みます。この積み上げが崩れていると、出来高率だけ整えても検査で説明できません。

当月分の集計と累計への足し込みを Excel の手転記で回している場合の詰まりどころは日報の集計を自動化する記事にまとめています。

直感日報(建設・店舗など現場チーム向けの日報管理サービス)では、施工延長や打設量を数値項目にしておくと、当日にスマホから 15 秒で提出した数量がそのまま累計になります。

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出来高数量は日々の記録の積み上げ — 月末の思い出しでは書けない

出来高数量の原本は、日々の施工数量の記録です。月末に「今月は結局どこまで進んだか」を記憶でさかのぼる方法では、延べ数十日分の数量を正確に再構成できません。

実務の型は次のサイクルです。

出来高報告書の月次サイクル。日々の日報に工種別の施工数量を記録 → 月末に当月分と累計を集計 → 出来高率を算出して報告書へ転記 → 発注者の確認検査・部分払や元請への出来高請求

  • 日々の日報に、工種ごとの施工数量(延長・打設量・処理量など)を記録する
  • 月末に当月分を集計し、前月までの累計に足して工種別の累計出来高数量を出す
  • 設計数量に対する出来高率を算出し、報告書・内訳書へ転記する
  • 発注者の確認検査や元請の査定を受け、部分払・出来高請求につながる

裏付けの重みは条文からも読み取れます。約款第 38 条の確認検査では、発注者は必要と認めるときは出来形部分を最小限度破壊して検査できるとされています(前掲 約款 第 38 条・第 17 条第 2 項準用)。

日々の記録と食い違う「多めの計上」は、検査の場で出来形と突合されれば維持できません。数量を書き残す側の型(作業内容・数量・人員をどの欄に書くか)は現場日報の書き方の記事にまとめています。

工事履行報告書・出来高内訳書との違い

工事履行報告書は毎月の工程(%)の報告、出来高報告書は部分払・出来高請求のための数量・金額の報告で、役割が異なる別書類です。福島県の提出書類一覧では、工事履行報告書は第 8 号様式その 3 で毎月提出です(約款第 11 条)。

工事出来高報告書は第 27-2 号様式で既済部分検査前に提出(根拠は前表)と、様式・時期・根拠が分けて整理されています(前掲 福島県)。

出来高内訳書は、出来高金額の内訳を工種・種別ごとに示す明細側の書類で、元請への出来高請求では請求書とセットで提出を求められることがあります。呼び名と役割の対応は発注者・元請ごとに揺れがあるため、様式一覧で「どの書類を・いつ・何の根拠で」出すのかを確認するのが確実です。

毎月の工程報告側の書き方は工事履行報告書の書き方の記事にまとめています。

よくある質問

Q1. 出来高と出来形は何が違うのですか?

出来形は施工が完了した部分そのもの(形になった数量・形状)で、出来高はその出来形を金額や割合に換算した評価です。出来形を測ってはじめて出来高が計算できる、という順序の関係にあります。

Q2. 出来高報告書は毎月提出するものですか?

提出のタイミングは契約によって異なります。公共工事では部分払・既済部分検査の前に提出する整理が一般的で、民間の下請では元請の締めに合わせて毎月提出する運用が多く、締め日は元請ごとに異なります。

Q3. 一式計上の工種はどう書けばよいですか?

数量で進捗を割れないため、金額ベースの按分にならざるを得ません。内訳を数量 × 単価に分解できる部分は分解しておくと按分の根拠を示しやすくなり、どこまで求めるかは発注者・元請の様式と査定ルールによります。

まとめ: 次にやること

  • 受注工事の設計図書・提出書類要領で、様式(数量ベースか金額ベースか)と提出時期を確認する
  • 工種ごとの施工数量を日々の日報に数値で記録し、月末に当月分を累計へ足し込む
  • 累計 ÷ 設計数量で出来高率を出し、報告書へ転記して確認検査・出来高請求に備える

出来高率の計算は割り算で、問われるのは分子の数量の裏付けです。2 番目を Excel の手転記で回すと、当月分の拾い直しと累計への足し込みが月末に集中します。

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※ 本記事は一般的な情報の提供を目的としています。出来高報告書の様式・提出時期・出来高の算定基準は発注者・元請ごとに異なります。実際の工事では当該工事の契約書・設計図書・提出書類要領と現場ルール・関係法令を優先し、疑義は監督員・発注者・元請にご確認ください。