足場点検表|記録が必要な点検・点検者の指名・保存はいつまで
公開日: 最終更新日: 直感日報 編集部

足場の点検で記録と保存が義務になるのは、悪天候・中震以上の地震・組立て等の後の点検だけです(安衛則 567 条 3 項)。毎日の作業開始前点検に条文上の記録義務はなく、保存の終わりも年数ではなく足場を使う仕事の終わりです。
この記事でわかること
- 記録するのは点検の結果と点検者の氏名、補修等の措置を講じた場合はその内容
- 567 条 2 項の点検事項は 9 つ、つり足場(568 条)は毎日そのうち 7 項目
- 2023 年 10 月 1 日から「点検者を指名して」行わせるのが条文の要件
- 指名は書面でなくてもよく、口頭・メール・指名順の伝達でもよい(通達)
- 組立て等の後の点検者は当事者以外が原則。人数の少ない事業者は例外(推進要綱)
毎日の点検に記録義務はない。記録が要るのは悪天候・地震・組立変更の後【早見表】
事業者が行う足場の点検には起点が 3 つ、注文者(元請)には別に 655 条の点検があり、記録・保存の定めがあるのは「後」の点検の 2 つです。
| 点検の起点 | 根拠 | 記録・保存 | 点検者 |
|---|---|---|---|
| その日の作業を開始する前(つり足場を除く足場) | 安衛則 567 条 1 項 | 条文に記録・保存の定めはない | 点検者を指名する(要綱: 職長等から指名) |
| 悪天候・中震以上の地震・足場の組立て、一部解体または変更の後 | 安衛則 567 条 2 項 | 記録し、仕事が終了するまで保存する(同条 3 項) | 点検者を指名する(要綱: 当事者以外が原則) |
| つり足場は、その日の作業を開始する前 | 安衛則 568 条 | 条文に記録・保存の定めはない | 点検者を指名する |
| 注文者(元請)— 悪天候等・足場の組立て等の後 | 安衛則 655 条 1 項 2 号 | 記録し、仕事が終了するまで保存する(同条 2 項) | 点検者を指名する |
4 つの点検はいずれも、2023 年 10 月 1 日から「点検者を指名して」行わせる形に変わりました(令和 5 年厚生労働省令第 22 号)。記録する事項に点検者の氏名が加わったのは、記録義務のある 2 つの方です。
足場の点検は3種類ある — 作業開始前・悪天候等の後・つり足場
安衛則が事業者に求める足場の点検は、起点の違いで 3 つに分かれます。
1 つ目が、その日の作業を開始する前の点検です。567 条 1 項は、つり足場を除く足場での作業について、点検者を指名して「足場用墜落防止設備の取り外し及び脱落の有無」を点検させ、異常があれば直ちに補修することを求めます。
見るのは、手すりなどが外れていないか、落ちていないかです。
2 つ目が、悪天候などの後の点検です。567 条 2 項の起点は「強風、大雨、大雪等の悪天候若しくは中震以上の地震又は足場の組立て、一部解体若しくは変更の後」で、「その日の」は付きません。点検する事項は 9 つです。
- 床材の損傷、取付け及び掛渡しの状態
- 建地、布、腕木等の緊結部、接続部及び取付部の緩みの状態
- 緊結材及び緊結金具の損傷及び腐食の状態
- 足場用墜落防止設備の取り外し及び脱落の有無
- 幅木等の取付状態及び取り外しの有無
- 脚部の沈下及び滑動の状態
- 筋かい、控え、壁つなぎ等の補強材の取付状態及び取り外しの有無
- 建地、布及び腕木の損傷の有無
- 突りようとつり索との取付部の状態及びつり装置の歯止めの機能
3 つ目が、つり足場の点検です。568 条は「前条第二項第一号から第五号まで、第七号及び第九号」を、その日の作業を開始する前に点検させると定めます。
毎日、9 項目のうち 7 項目で、6 号(脚部の沈下・滑動)と 8 号(建地、布及び腕木の損傷)が外れます。このうち、記録が要るのはどれでしょうか。
記録が必要なのはどの点検か — 安衛則567条3項の「前項」が指すもの
記録と保存の義務がかかるのは、567 条 2 項の点検だけです。3 項が、書き出しでそう限定しています。
事業者は、前項の点検を行つたときは、次の事項を記録し、足場を使用する作業を行う仕事が終了するまでの間、これを保存しなければならない。
一 当該点検の結果及び点検者の氏名
二 前号の結果に基づいて補修等の措置を講じた場合にあつては、当該措置の内容
「前項」は 2 項、つまり悪天候・中震以上の地震・組立て等の後の点検です。1 項の作業開始前点検にも、568 条のつり足場の点検にも、3 項はかかりません。
毎日の点検表を全部残せ、という根拠は 567 条にも 568 条にもありません。
記録する事項は 2 つです。点検の結果および点検者の氏名と、その結果に基づいて補修等の措置を講じた場合の当該措置の内容です。
2 つ目は「講じた場合にあつては」なので、異常がなければ書く対象が生じません。求められるのは点検表という書類ではなく、この 2 事項です。
ただし、記録が要らないことと点検が要らないことは別です。1 項も 568 条も点検自体は義務で、施行通達は種類別のチェックリストの活用が望ましいとしています(出典: 厚生労働省 基発 0314 第 2 号・2026-08-24 確認)。
どの点検に記録の規定があるかの切り分けは、機械でも同じです(車両系建設機械の点検記録の記事)。では、その記録はいつまで持っていればよいのでしょうか。
足場点検記録の保存期間 — 「3年」ではなく「仕事が終了するまで」
保存の終わりは「足場を使用する作業を行う仕事が終了するまでの間」で、条文に年数の定めはありません。567 条 3 項も、注文者側の 655 条 2 項も、同じ言い回しです。
年数で書かれた説明を見かけることがあります。何年保存、あるいは足場を使用する期間に何年かを足す、といった書き方です。
現行の条文には、その根拠がありません。区切るのは暦ではなく仕事で、その足場を使う作業が終われば、そこが終わりです。
確かめ方は簡単です。e-Gov 法令検索で労働安全衛生規則の 567 条を開き、3 項の本文をそのまま読みます。改正のあった条文は施行日ごとに版が並ぶので、現行版を選びます(この記事は 2026 年 8 月 1 日施行版で確認)。
長い現場では、記録は年をまたいで残ります。書式より先に、いつの点検の記録なのかが分かる形が要ります(日報そのものを何年残すかは作業日報の保存期間の記事へ)。
記録義務がかからない 567 条 1 項の点検は、裏を返せば毎日発生します。日報の記入項目を 3 つ持たせると、その毎日が 1 行ずつ残ります。
- 今日その現場で足場を使ったか(使った足場の種類・場所)
- 作業開始前の点検を誰が行ったか(指名した点検者の氏名)
- 異常の有無と、補修した場合はその内容
この 3 行が日付順に並んでいると、悪天候や地震、組立て・変更があった日に 2 項の点検へ切り替わったことを後から突き合わせられます。置き場は、直感日報(建設・店舗など現場チーム向けの日報管理サービス)のようにスマホから 15 秒で提出できる日報でも構いません。
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点検者は誰が指名するのか — 2023年10月からの義務と、指名の方法
2023 年 10 月 1 日から、足場の点検は「点検者を指名して」行わせることが条文の要件になりました(令和 5 年厚生労働省令第 22 号)。あわせて記録する事項に点検者の氏名が加わりました。
指名の方法には、通達が幅を持たせました。
- 書面で伝達する方法
- 朝礼等に際し口頭で伝達する方法
- メール、電話等で伝達する方法
- あらかじめ点検者の指名順を決めて、その順番を伝達する方法
書面でなくてもかまいません。ただし通達は「点検者の指名は、点検者自らが点検者であるという認識を持ち、責任を持って点検ができる方法で行うこと」と条件を付けています。
本人が把握していない形の指名は、これを満たしません。点検者に求められるものは、点検の種類で違います。
- 組立て等の後の点検(567 条 2 項・655 条 1 項 2 号): 足場の組立て等作業主任者であって能力向上教育を受講した者等、要綱別添に示す一定の能力を有する者が望ましい
- その日の作業を開始する前の点検(567 条 1 項): 職長等、当該足場を使用する労働者の責任者から指名する
要綱の別添は、土木・建築を試験区分とする労働安全コンサルタントや、建設業労働災害防止協会の施工管理者等のための足場点検実務研修を受けた者なども挙げました(出典: 厚生労働省 基安発 0314 第 2 号 別紙・2026-08-24 確認)。
いずれも通達・要綱による行政指導で、条文が資格を要件にしているわけではありません。では、その足場を組んだ本人を点検者に指名してよいのでしょうか。
組んだ本人が点検してよいのか — 原則は当事者以外、小規模事業者には例外
推進要綱は、組立て等の後の点検者を当事者以外の者とするよう求めています。当事者とは、組立て等の作業に直接従事した者、当該作業の作業主任者および作業指揮者等です。
自分が組んだ足場を自分で点検すれば、組んだときの前提がそのまま点検の前提になります。ただし要綱は、その直後にただし書きを置きました。
ただし、従業員数の少ない事業者又は注文者にあっては、足場の組立て等の作業に係る当事者以外には、足場の点検に関する十分な知識・経験を有する者が確保できない場合も考えられる。この場合には、足場の組立て等に係る当事者に足場の点検を実施させても差し支えないこと。
人数の少ない会社では、組んだ当事者に点検させても差し支えない、と一次資料が明記しています。双方が点検を行う場合も同じ扱いを認めたうえで、点検は確実に行われるべきである、と続けました。
押さえておきたいのは、この原則も例外も、条文ではなく推進要綱に書かれていることです。567 条 2 項が求めるのは点検者を指名することまでで、誰を指名するかの限定は条文にありません。
なお、567 条の名宛人は「事業者」です。労働者を使用しない働き方でこの条がどう及ぶかは、条文だけでは決まりません(一人親方の作業記録の記事)。
元請(注文者)の義務は別にある — 安衛則655条と567条の違い
注文者には、事業者としての 567 条とは別に、注文者としての 655 条の義務があります。起点も、異常のときの語も一致しません。
655 条 1 項は「注文者は、法第三十一条第一項の場合において、請負人に係る作業従事者に、足場を使用させるときは」と書き出します。求めるのは、最大積載荷重の表示、悪天候等・組立て等の後の点検と修理、規格および足場の基準への適合の 3 つです。
点検する事項はイからリまでの 9 つで、567 条 2 項 1 号から 9 号までと対応します。親条文の安衛法 31 条 1 項は、特定事業の仕事を自ら行う注文者の措置義務を定めた規定です。
違いは 3 つあります。
- 注文者側に「その日の作業を開始する前」の点検義務はない。655 条 1 項 2 号の起点は悪天候等・組立て等の後だけ
- 異常のときの語が違う。567 条は「異常を認めたときは、直ちに補修」、655 条は「危険のおそれがあるときは、速やかに修理」
- 記録の 2 号の語も違う。567 条 3 項 2 号は補修等、655 条 2 項 2 号は修理等の措置の内容
もう 1 つ、足場を組んだ会社だけの話ではありません。推進要綱は、足場設置業者でなくとも安衛則 567 条等に基づく措置の実施義務がある、と明記しています。
他社が組んだ足場を借りて作業するだけの会社にも、事業者としての点検義務があります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 毎日の作業開始前点検表は、捨ててしまってよいのですか?
条文上の記録・保存義務は 567 条 2 項の点検の記録にかかり(同条 3 項)、1 項の作業開始前点検と 568 条のつり足場の点検には規定がありません。ただし社内規程や元請の書類ルールで保存を求められることは、これとは別です。
Q2. 元請も毎日点検するのですか?
655 条 1 項 2 号の起点は悪天候等・組立て等の後で、作業開始前の点検の規定はありません。自社が事業者としても足場を使うなら、567 条 1 項の側で毎日の点検が要ります。
Q3. 点検表は自社の様式でよいのですか?
安衛則の 567 条・568 条・655 条に、点検表の様式の定めはありません。推進要綱は足場の種類に応じたチェックリストを作成の上これを活用させることとし、わく組・単管・くさび緊結式・つり(棚)の 4 種類を例示しました。
まとめ: 次にやること
- 自社の点検表を 3 つの起点(作業開始前・悪天候等の後・つり足場)に分ける
- 悪天候・地震・組立て等の後の分は、結果・点検者の氏名・補修の内容が残っているか確かめる
- 毎日の作業開始前点検は、実施した事実と担当者が日付で追える形にする
3 番目を続けるには、点検表とは別に、その日の担当者を書き留める場所が現場に要ります。紙の日報でも構いませんが、悪天候の日を後から探す手間が残ります。
直感日報が担うのは、その日その現場で足場を使ったか、点検を誰が行ったか、異常と補修があったかを毎日残すところまでです。
点検そのものや、安衛則 567 条・655 条が求める点検記録の作成・保存の代行、法令に適合した様式の提供、保存期間の自動管理、法令適合の判定、勤怠管理・打刻・賃金計算はできません(記録するのは点検の担当者であって、出退勤ではありません)。
日報の項目設計は現場日報の書き方の記事、異常時の写真を同じ日の記録に紐づける方法は工事日報の写真管理の記事にあります。
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足場点検の担当者も、日報と一緒に 15 秒で提出。日報の項目に足場の使用・点検者・異常の有無を持たせれば、提出と一緒に日付つきで残ります。無料で 14 日試す →400 円/人/月・最低 5 名から
※ 本記事は一般的な情報の提供を目的としています。足場の点検・記録・保存は事業者と注文者の義務であり、現場の状況や足場の種類によって必要な措置は変わります。実際の運用にあたっては現場ルール・契約図書・関係法令の最新版と、元方事業者の定める安全衛生管理のルールを優先し、疑義は所轄の労働基準監督署にご確認ください。